インプラント周囲炎はインプラントの歯周病 |インプラントが歯周病になる原因と治療方法を解説
三重県鈴鹿市 大木歯科医院
歯科医師 院長 笠井啓次
インプラントを入れた後は、丁寧なセルフケアとプロによる定期的なメンテナンスを行わないと、インプラント周囲炎になる可能性があります。インプラント周囲炎を初めて耳にした方も多いはず。そこで、インプラント周囲炎の原因と治療方法について解説します。
インプラントも歯周病になる
インプラントはむし歯にはなりませんが、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病になる可能性があります。
インプラントのメンテナンスを怠ると、インプラントの周囲に歯垢が溜まり、歯垢に潜在している細菌に感染します。細菌に感染すると歯肉に炎症起こし、インプラント周囲粘膜炎になります。
さらに細菌感染が顎の骨まで広がると、インプラント周囲炎になり、インプラントを支えている骨が減少します。
インプラントが歯周病になる原因は歯垢
歯垢に潜在してる細菌や、過度な力の負担でインプラントと骨の付着が破壊され、出血、排膿が生じ、進行するとインプラントの揺れや、脱落を引き起こします。インプラントが歯周病になる原因は以下の3つです。
メンテナンスを怠ってしまった
メンテナンスを怠り、歯垢が溜まったまま放置すると、細菌に感染し、インプラントが歯周病になるインプラント周囲炎の可能性が高くなります。
インプラントはむし歯にはなりませんが、天然の歯と同じように歯周病になります。インプラントは入れた後のメンテナンスは重要です。
インプラントに過度な力がかかってしまった
歯ぎしりや食いしばりなど、インプラントに過度な力が加わると、骨とインプラントの付着が壊れてしまいます。付着が壊れるとインプラントの歯周病が発症しやすくなります。
歯ぎしりや食いしばりをしている方は、インプラントにかかる力を緩和する、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着するなど、予防が必要です。
歯周病の治療をせずインプラントを入れた
インプラント周囲炎と歯周病の原因菌は類似しています。歯周病に罹患しているのにもかかわらず、治療せずにインプラントを入れてしまうと、インプラント周囲炎の原因となります。
歯周病に罹患している場合は、歯周病の治療を行ってからインプラント治療を行い、インプラントを入れた後も、継続して歯周病治療を行うことが非常に大切です。
治療方法は細菌の除去
治療方法は、大きく2つの治療に分けられます。重症状で回復が見込めない場合はインプラントの除去を行います。
噛み合わせの調整
歯ぎしりや食いしばりなど、噛み合わせが問題の場合、ナイトガードの作製や、人工歯の噛み合わせの調整が行われます。
細菌の除去
インプラント周囲炎の原因は細菌感染によって起こります。治療は細菌を除去し症状の緩和を図ります。重症度によって治療方法は異なります。
機械的清掃
症状が初期の場合、インプラントの周囲の歯垢や歯石を除去します。
殺菌療法
中等度の場合、インプラントと歯肉の間に薬剤を入れて洗浄します。機械的清掃と併用されることが多いです。
抗菌療法
抗生物質をインプラントと歯肉の間に挿入、または抗生物質を投与します。
外科的処置
進行が進んでしまった場合、切除療法や再生療法を行います。
インプラントの歯周病を予防しよう
インプラント周囲炎の予防は、歯垢を溜めないことです。日頃の丁寧な歯磨きが、非常に大切です。
歯ブラシの他に、フロスや歯間ブラシなど、お口の状態にあった清掃道具を選びます。インプラントを入れたら、改めて歯科医師、歯科衛生士のブラッシング指導を受けることをおすすめします。
また、歯科医院で定期的なメンテナンスも非常に大切です。レントゲンや噛み合わせの確認をし、状態にあった処置を受けることができます。
まとめ
「インプラントを入れたから、むし歯、歯周病にならないから安心。」と思われていた方も多いはず。インプラントはむし歯にはなりませんが、溜まった歯垢から細菌感染を引き起こし、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病になる可能性があります。
歯磨きやメンテナンスを怠ってしまうと、インプラント周囲炎になる可能性が高くなります。予防のためには、日頃の歯磨きと定期的なメンテナンスが非常に大切です。
三重県鈴鹿市 大木歯科医院
歯科医師 院長 笠井啓次