一度治療した歯が再び虫歯になる二次カリエスとは?
こんにちは!鈴鹿市の歯医者 大木歯科医院 院長の笠井です。
一度治療した歯が再び虫歯になることを「二次カリエス」と呼んでいます。
「せっかく虫歯の治療を受けたのに、また虫歯になるなんて有り得ない!!なんでまた痛い思いをしなきゃならないの!?」と思いますよね。
ですが、どんなに良い治療を受けても、定期検診を受けなかったり毎日の歯磨きが正しくできていなければ、必ずと言っていいほどまた虫歯になります。
二次カリエスになるとどうなるか?
「〇〇年前に治した歯がしみて痛い」ということで、診査・診断させていただいたところ、被せた金属が歯に合っておらず隙間ができており、そこから虫歯菌が侵入して、金属を外すと中が真っ黒に溶けて虫歯になっていました。
虫歯の治療をした歯というのは、詰め物や被せ物と歯の間にわずかな段差や溝があって、そこに虫歯菌がたまりやすいため、健康な歯よりもはるかに虫歯になりやすいのです。
過去に重症の虫歯の治療をして神経を抜いた歯は痛みを感じにくく脆くなり、二次カリエスが知らぬ間に大きく進行して歯が弱った結果、歯の根っこが割れてしまう→抜歯するしかなくなる、ということになります。
二次カリエスはあなたの大切な歯の寿命を大きく縮めてしまう怖い虫歯なのです。
歯を失う原因は「虫歯由来」がトップ
歯を失う二大原因は虫歯(う蝕)と歯周病であることが厚生労働省の統計で明らかになっています。
歯を失う原因第3位の「破折(歯が割れてしまうこと)」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、過去に重症の虫歯を治療して神経を抜いた歯と考えられます。
つまり破折の原因は「虫歯由来」とみなすことができますので、「虫歯由来」は47%となり、抜歯の最大原因となっています。
金属で治療すると二次カリエスになりやすい
特に金銀パラジウム合金の被せ物がしてある歯は、二次カリエスになるリスクが非常に高いです。その理由は、熱が加わると膨張して冷えると収縮する、という金属の性質が要因になることが挙げられます。
例えば、鉄道のレールのつなぎ目には隙間がありますが、夏場はレールが膨張して隙間が減り、冬場は縮んで隙間が増えます。それと似たことが歯と詰め物や被せ物の間で起こっているのです。
お口の中の温度は、アツアツの焼肉を噛み締めた直後に冷たいビールを飲んだり、冷えたデザートを食べてホットコーヒーを飲んだりすることで、みなさんが思っている以上の変化が起こっています。
金属の被せ物が熱膨張を繰り返すことで、数年をかけて被せ物と歯をつないでいる接着剤がボロボロに崩壊し、できた隙間から虫歯菌が入り込んで歯がドロッと溶けて虫歯になってしまうのです。
また、金属はプラスの電気を帯びやすく、反対にお口の中の虫歯菌はマイナスの電気を帯びているため、互いに引き寄せあうことで金属の周りには虫歯菌が寄り付きやすくなります。
二次カリエスになりにくい材料があります
金属より虫歯になりにくい材料で治療して、虫歯のリスクを減らすことも有効です。
詰め物や被せ物の条件には色々ありますが、基本的には「性能の違い」で選びます。
虫歯タイプの方であれば虫歯が再発しないようセラミックを被せたり、歯と歯の間や浅い虫歯の場合では最小限の削る治療で済むようプラスチックを詰めたり、噛み合わせが強い方であれば割れないよう金属の被せを入れたりと、部位や条件によって提案させていただく被せ物の種類は変わってきます。
当院では二次カリエスや金属アレルギーのリスクを軽減するため、歯の治療にできるだけ金属を使わない「メタルフリー診療」を推進しています。
まとめ
二次カリエスにならないためには、まず、
- お口の中の虫歯菌を毎日正しく除去し続けること(セルフケア)
- 定期検診を受けていただくこと(プロケア)
とにかく虫歯そのものの原因をひたすら取り除いていくことが絶対条件となります。
その次に、できるだけ虫歯になりにくい材料で治療を行うことです。
二次カリエスを防いで歯を長持ちさせて、いつまでも健康でおいしい食事を摂りましょう!